| 通番 | 10119 | 報告書番号 | 2008-中部-T022 |
|---|---|---|---|
| 情報区分 |
トラブル情報 |
報告書状態 | 最終報告 |
| 事象発生日時 | 2008年 12月 22日 16時 18分 | 事象発生日時(補足) | (運転上の制限からの逸脱を宣言) |
| 会社名 | 中部電力株式会社 | 発電所 | 浜岡発電所3号 |
| 件名 | 非常用ディーゼル発電機(A)の動作不能について | ||
| 国への法令報告根拠 | 実用炉規則19条の17 | 国際原子力 事象評価尺度(INES) |
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| 事象発生時の状況 |
定格熱出力一定運転中の3号機において,平成20年12月22日 原子炉施設保安規定に基づく月1回の定期試験として非常用ディーゼル発電機(以下,「D/G」という。)(A)の確認運転を行っていたところ,定格出力到達(定格出力 6.3MW)後のガバナ(※1)スイッチによる出力降下操作中(出力 約4.0MW)に,同スイッチによる降下操作ができなくなった。 このため,D/G(A)が動作可能な状態にないと 判断し,午後4時18分に原子炉施設保安規定で定める運転上の制限からの逸脱を宣言した。
その後,原子炉施設保安規定で要求される運転上の制限を逸脱した際の措置として,D/G(B),(H)及び原子炉隔離冷却系について,動作確認試験を行い,動作可能であることを確認した。 また,D/G(A)については,事象発生直後にガバナスイッチによる出力降下を実施したところ,一旦,調整が可能となったが,出力降下操作中(出力 約2.5MW)に再び,降下操作ができなくなった。 当該事象発生に繋がる不具合箇所を特定するための調査を行った結果,ガバナモータの電気回路に,何らかの異常が発生していることを確認した。また,ガバナ本体についても,事象発生に繋がる要因が潜在していることを確認した。その他の部位については,異常は確認されなかった。 現場調査後,D/G(A)を停止し,ガバナ一式(※2)について予備品との取替を行った。ガバナ一式の詳細な調査・点検については,専用の点検機材が充実しているメーカ工場で実施する必要があり,故障原因について速やかに特定することができないことから,平成20年12月24日に実用炉規則第19条の17に該当するものと判断した。 ガバナ一式の取替を行ったD/G(A)について,平成20年12月25日に,定期事業者検査を行い,動作可能であることが確認できたため,同日午後11時45分に運転上の制限逸脱からの復帰を宣言した。 なお,本事象において排気筒モニタの指示値に異常はなく,本事象に伴う外部への放射性物質の影響はなかった。また,けが人の発生もなかった。 ※1:D/Gへ送られる燃料量を調整し,回転速度(周波数)を制御するシステム ※2:ガバナモータとガバナ本体 |
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| 事象発生箇所 |
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| 原因調査の概要 |
1.現場調査・点検結果 1.1 不具合発生箇所の調査 当該事象以前の平成20年10月24日にも中央制御室操作スイッチにより,出力降下操作ができない事象が発生しており,その際は,事象発生直後に操作可能へ復帰し,その後,事象の再現性を確認するため,出力上昇と下降操作を繰り返したが再現はなかった。 このため,事象の再現性はなかったものの,原因の特定を行うため,要因分析図を作成し,定期試験に合わ せた運転状況の確認を行ってきた。
本事象は,平成20年10月24日に発生した事象と同様な事象であることから,両事象の関連性も含めた,不具合発生箇所の特定のため,D/G(A)について停止前後の状況を調査した。 1.1.1 D/G(A)停止前調査結果(出力 約2.5MW時) 目視により現場状況確認を行った結果,中央制御室操作スイッチにより出力降下ができなくなった際,現場のガバナモータ出力軸が回転しておらず,不動作状態であった。 このため,当該操作スイッチからガバナモータを含む電気回路に何らかの異常が発生しているものと想定し,D/G運転中に接近可能な範囲で各部の電圧測定を実施した。その結果,現場操作盤端子台からガバナモータを含む電気回路は通常-64V程度の電圧値に対して0Vであり,導通不良を確認した。 その他,出力降下操作スイッチの接点に異常はなかった。 また,D/Gの運転状態が安定していることを確認した。 1.1.2 D/G(A)停止後調査結果 D/G(A)停止前の調査結果より,電気回路の導通不良を確認したことから,不具合発生箇所の絞り込みのため,出力約2.5MWで導通不良を確認した現場操作盤端子台からガバナモータを含む電気回路の間にある,ガバナモータ横端子台の電圧を測定したところ,導通不良は復帰していた。 以上より,現場操作盤端子台からガバナモータ横端子台までの電気回路について,端子台,盤内配線,ケーブルの調査を行った。 その結果,盤内配線,ケーブルについては,抵抗測定値及び絶縁抵抗測定値に異常はなく,また,各端子の緩み,配線の損傷等はなかった。 また,ケーブルトレイや電線管部の目視確認可能な範囲のケーブルに損傷等は認められなかった。 ガバナモータについては,ガバナモータと連動して動作するガバナ本体と合わせて,中央制御室操作スイッチから出力上昇又は下降操作を行い,動作確認を実施したが,異常はなかった。 1.2 不具合発生箇所の特定 本事象において確認された「中央制御室から操作スイッチによる出力降下ができない」,「ガバナモータ出力軸不動作」及び,「電気回路の一時的な導通不良」が発生する要因について,要因分析図(不具合発生箇所特定用)を整理し,評価を行うと共に,現場調査結果を踏まえた不具合発生箇所の特定を行った。 (1)「電気回路の一時的な導通不良」事象の発生 事象発生の要因となり得る電気品及び,ガバナモータ電気回路について評価した結果,出力約2.5MWの事象発生時に導通が確認できなかった範囲のうち,ガバナモータ自体の電気回路以外は,D/G(A)停止前後の電圧測定,抵抗測定,絶縁抵抗測定及び外観点検の結果から, 事象発生の要因となる異常はなかった。 ガバナモータ自体の電気回路は健全性確認ができていない範囲であり,この範囲に事象発生要因となる電気的な不具合が発生した可能性が有ることを確認した。 (2)「ガバナモータ出力軸不動作」事象の発生 事象発生の要因となり得るガバナモータ及び,ガバナ本体について評価した結果,ガバナモータギアハウジング内にあるギアの摩耗等による一時的な動力伝達不良が,事象発生要因となり得ることを確認した。また,その他ガバナモータ可動部の固着や,構成部品の破損,異物侵入等が,事象発生要因となり得ることを確認した。 ガバナ本体については,ガバナ本体内部の可動部の異常やガバナモータ出力軸に直結しているフリクションクラッチ(摩擦継手)の固着が,事象発生要因となり得ることを確認した。 (3)「中央制御室から操作スイッチによる出力降下ができない」事象の発生 事象発生要因となり得る燃料系,給排気系,潤滑油系,冷却系,及び所内電源系の異常の有無について評価した結果,D/G(A)は,当該事象発生前の定格運転状態及び事象発生時において,現場運転状態に異常はなく,安定に運転を継続していたことから,事象発生要因とはならないことを確認した。 以上の評価結果より,本事象発生の要因として,ガバナ本体もしくはガバナモータの不良であることが確認できたため,それぞれ予備品への取り替えを行うとともに,ガバナ本体及びガバナモータの内部点検については,専用点検機材が充実しているメンテナンス会社の工場で点検を実施することとした。 なお,D/Gで使用しているガバナ本体及びガバナモータは,当該事象が発生したものを含め,機関から取り外し,4定期点検毎にメンテナンス会社の工場で分解点検を行い,当該品を復旧している。 なお,点検工期が短い場合は,予め予備品のガバナ本体及びガバナモータを工場で分解点検し,入れ替える場合がある。その他,不具合発生時には,ガバナ本体又はガバナモータのどちらか一方のみ取り替える場合がある。 このため,当該ガバナ本体とガバナモータの使用履歴を確認したところ,ガバナ本体は,浜岡3号機D/G(B)で10サイクル程度の使用実績があり,ガバナモータについては,浜岡3号機建設当時に予備品として購入後,平成19年9月にメンテナンス会社の工場において分解点検を実施し,D/G(A)に使用するまでは,使用した実績が無いことを確認した。 また,本事象は,平成19年9月のガバナモータ取り替え以降に発生しており,それ以前には発生していない。 1.3 ガバナ本体及びガバナモータ取り替え後確認 ガバナ本体及びガバナモータ取り替え後,設備の健全性を確認するための試運転において,不具合発生時の出力約2.5MW時に電圧測定を行った測定点で,連続的な電圧測定を行った。 その結果,D/G(A)起動から停止までの間,導通不良は無く,中央制御室の操作スイッチによる出力上昇又は下降操作のいずれにも問題となるような測定結果は確認されなかった。 2 工場におけるガバナ本体及びガバナモータの調査・評価 ガバナ本体とガバナモータについて不具合発生の直接原因を特定するため,要因分析図(工場調査用)に基づき分解調査・評価を行った。 2.1 ガバナモータの調査結果 2.1.1 電気回路の一時的な導通不良となる事象に関する調査 (1)整流子 整流子の損傷,ブラシ接触面への異物の噛み込みにより,事象が発生する可能性があることから,外観目視点検,異物確認,導通確認を実施した。 その結果,事象発生の要因となる異常はなかった。 また,整流子表面は目視では確認できない異物噛み込みの痕跡や,その他の異常を確認するため,デジタルマイクロスコープ(※1)による表面確認を行った。 その結果,事象発生の要因となる異常はなかった。 (2)固定子コイル 固定子コイルの損傷,コイル線接続部の接触不良により,事象が発生する可能性があることから,外観目視点検,異物確認,導通確認を実施した。 その結果,ワニス(※2)塗布部にリード線をインシュロックで固定する際についたと思われる擦れ傷が確認されたが,事象発生の要因となる異常はなかった。 (3)回転子コイル 回転子コイルの損傷,コイル線接続部の接触不良により,事象が発生する可能性があることから,外観目視点検,異物確認,導通確認を実施した。 その結果,事象発生の要因となる異常はなかった。 (4)リード線(バネ端子含む) リード線の損傷,はんだ箇所の接触不良により,事象が発生する可能性があることから,外観目視点検,ひっぱり点検,異物確認,絶縁抵抗測定,導通確認,及び抵抗測定を実施した。 その結果,事象発生の直接要因となる異常はなかったが,次のことを確認した。 通常リード線に塗布する必要のないワニスがリード線に付着した箇所があり,その一部に剥がれかかっている箇所が認められた。確認された剥がれかかっている箇所は,点検時にリード線を曲げ延ばす部分であった。リード線が曲げ延ばしされていない箇所は,ワニスが一様に付着しており,剥がれかけや剥がれた形跡はなかった。 なお,分解時にはガバナモータ内に有意な異物は確認されなかった。 (5)ブラシ 整流子との当たり面の荒れやブラシの折れ,当たり面への異物侵入により,事象が発生する可能性があることから,外観目視点検,当たり状況の確認,異物確認を実施した。 外観目視点検の結果,2本中1本のブラシの当たり面に,当たりが不均一でブラシ中央部に光沢のない箇所があることを確認した。 このため,ブラシ当たり面の詳細状況の確認として,当該事象が発生したガバナモータのブラシ2本と,比較対照として予備品ガバナモータの健全なブラシ1本について,当たり面のSEM(走査型電子顕微鏡)観察及びEDX(エネルギー分散型蛍光X線分析装置)による成分分析を実施した。 SEM観察の結果,当たりが不均一なブラシとその対のブラシは,健全なブラシに比べ摺動痕が途切れた様相であった。 また,EDXによる成分分析の結果,ブラシ当たり面には絶縁物の付着はなかった。 (6)ブラシスプリング・ブラシホルダ ブラシスプリング,ブラシホルダの損傷によるブラシの外れや,各接点の不良により,事象が発生する可能性があることから,外観目視点検,寸法確認(ブラシとブラシホルダの間隙確認を含む。),異物確認を実施した。 寸法確認においては,ガバナモータの製作会社が既に存在せず,製作公差の確認ができないことから,当社の予備品ガバナモータとの比較により評価した。 その結果,事象発生の要因となる異常はなかった。 2.1.2 ガバナモータ出力軸不動作に関する調査 (1)ギアハウジング内グリス グリスの劣化,異物の侵入により,ギアの円滑な回転が妨げられ,事象が発生する可能性があることから,外観目視点検,異物確認を実施した。 その結果,事象発生の要因となる異常はなかった。 (2)ギア・ギアシャフト 異物の侵入によるギアの偏摩耗・損傷により,ギアの円滑な回転が妨げられ,事象が発生する可能性があることから,外観目視点検,異物確認を実施した。 その結果,事象発生の要因となる異常はなかった。 (3)軸受 軸受の損傷や異物の侵入により,回転子の円滑な回転が妨げられ,事象が発生する可能性があることから,外観目視点検,異物確認を実施した。 その結果,事象発生の要因となる異常はなかった。 (4)モータシャフト モータシャフトの損傷により,回転子の円滑な回転が妨げられ,事象が発生する可能性があることから,外観目視点検,異物確認を実施した。 その結果,事象発生の要因となる異常はなかった。 (5)固定子鉄心・回転子鉄心 回転子と固定子の接触により,回転子の円滑な回転が妨げられ,事象が発生する可能性があることから,外観目視点検,異物確認を実施した。 その結果,事象発生の要因となる異常はなかった。 2.2 ガバナ本体の調査結果 ガバナモータが規定のトルクで作動しても,出力軸の動力をガバナ本体に伝達するフリクションクラッチ(摩擦継手)の固着・損傷が生じた場合,ガバナモータ出力軸が不動作となる可能性があることから,フリクションクラッチの作動確認,外観目視点検を行った。また,フリクションクラッチが正常に作動するために必要となるガバナモータのトルクについて確認した。 その結果,事象発生の要因となる異常はなかった。 2.3 工場調査結果の評価 工場による調査結果から,事象発生の直接原因の特定には至らなかったが,次のとおり導通不良の要因として何らかの異物がブラシと整流子の間に噛み込んだものと推定した。 ○ブラシの当たりが不均一となったのは,ブラシ形状にもともと当たりが生じない箇所があった又は,何らかの異物がブラシと整流子の間に噛み込み,当たりが生じない箇所があり,形成されたためと考えられる。ただし,前者では,ブラシと整流子の接点不良は発生しないため,導通不良発生の要因とはならない。このため,ブラシの当たりが不均一となったのは,後者の異物噛み込によるものと推定した。 ○ブラシと整流子の間に噛み込んだ異物は,次のものと推定した。 ・ガバナモータ内部のリード線に付着しているワニスが運転中あるいは,分解点検時に剥がれて落下し,異物となった。 なお,ワニスは,樹脂を固めたもので,コイルの振動に対する強度と絶縁性を保つために塗られており,一般的に衝撃を与えない限り容易に剥がれるものではないが,リード線に付着しているワニスに限っては,分解点検時の曲げ延ばしを行う際,剥がれやすくなる場合がある。 ・ワニス以外の絶縁物が侵入し異物となった。 なお,ガバナモータは密閉構造であること及び,ガバナモータ内部にはワニス以外異物化するものがないことから,ワニス以外の絶縁性異物は,ガバナモータの分解点検時に限り外部から侵入する。 ○発見されなかった異物については,以下の確認を行った結果から,微細な異物であったと推定した。 ・今回の工場調査で,異物の有無を確認するよう指示したが,微細な異物に着目した指示ができていなかった。また,作業員からの聴き取り結果から,微細な異物であれば気づかなかった可能性があることを確認した。このため,微細な異物の発見はできていなかった可能性がある。 また,分解点検の異物管理について調査したところ,前回分解点検時(平成19年9月18日に発生したギア編摩耗事象によるガバナモータ取り替え時)の調達要求には,異物侵入防止管理は明記しておらず,調達先の作業要領書にも異物侵入防止管理は記載されていないことから,メンテナンス会社の工場における前回分解点検時に適切な異物侵入防止管理はできていなかった可能性がある。 ※1 デジタル画像により表面形状の拡大観察を実施する機材 ※2 モータコイルの振動に対する強度と絶縁を維持するための絶縁材 |
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| 事象の原因 |
1.事象発生推定原因及び推定メカニズム 1.1 事象発生推定原因 工場における調査・評価結果から,ブラシと整流子の間に異物が噛み込んだことで導通不良が発生したものと推定した。 1.2 事象発生の推定メカニズム (1)異物の挙動及び一時的な導通不良 異物は,ガバナモータ内部リード線に付着したワニスが剥がれたもの,あるいは,ワニス以外の絶縁物と推定した。 当たりが不均一であったブ ラシの状況から,ブラシと整流子の間に異物が噛み込んだ状態で,整流子が回転していたものと推定した。これに加え,回転に伴うブラシの傾きで,ブラシと整流子の接点が不安定な状態となり,導通不良が発生したものと推定した。
また,導通不良が復帰する要因について評価を行ったところ,復帰にはブラシの傾きに影響を与えるような振動等の外力が必要であり,人的要因として「ガバナモータへ物を当てる等の加振」,その他要因として「D/G本体からの振動」が考えられる。 前者については,事象発生時にガバナモータへ物を当てた等の事実はなかった。このため,D/G本体からの振動の影響によりブラシが傾き,ブラシと整流子の接点が復帰したものと推定した。 (2)異物の噛み込みパターン 異物の噛み込むパターンは次のいずれかであると推定した。 A:分解組み立て時に異物をブラシと整流子の間に噛み込ませたパターン ○ガバナモータ内部のリード線に付着したワニスが剥がれ落ち,ブラシと整流子の間に噛み込ませてしまった。 ○ガバナモータ外部から侵入したワニス以外の絶縁性異物をブラシと整流子の間に噛み込ませてしまった。 B:ガバナモータ運転中に異物がブラシと整流子の間に噛み込むパターン ○ガバナモータ内部のリード線に付着したワニスが剥がれ落ち,モータケース内に残留し,ガバナモータ運転中にブラシと整流子の間に噛み込んだ。 ○モータ外部から侵入したワニス以外の絶縁性異物がモータケース内に残留し,モータ運転中にブラシと整流子の間に噛み込んだ。 2 事象発生推定メカニズムの検証 2.1 異物の挙動及び一時的な導通不良の検証 当該事象が発生したガバナモータで使用していた「不均一な当たりのブラシ」及び「不均一な当たりのブラシと対のブラシ」と,予備品ガバナモータの「健全なブラシ」について,それぞれ大きさを変えた絶縁性異物をブラシの中央部に置き,ブラシと整流子の間に噛み込ませ,「a.異物噛み込みにより導通不良が発生すること」,「b.異物噛み込み時におけて整流子の回転に伴うブラシの傾きによる影響で,導通不良及び導通良が発生すること」,及び「c.異物噛み込み時に整流子を回転させた時に異物がブラシと整流子の間に留まること」を確認するため,実証試験を行った。 試験の結果,いずれのブラシにおいても,次の事が確認できた。 a.全ての大きさ(最小0.6mm四方)の異物で導通不良が発生すること。 b.異物噛み込み時は,整流子の回転に伴うブラシの傾きによる影響で,導通不良又は導通良となる場合があること。 c.ブラシと整流子の間に異物が留まったまま回転する場合があること。 2.2 異物噛み込みパターンの検証 異物が噛み込む2つのパターンについて,それぞれ発生する可能性について確認した。 (1)分解組み立て時に異物をブラシと整流子の間に噛み込ませたパターン 組み立て時に,異物をブラシと整流子の間に噛み込ませたと推定した場合,組み立て後の試運転が良好であった事実から異物噛み込み直後は導通良であった。 一方,2.1の実証試験結果では,異物をブラシ中央部に置き,ブラシと整流子の間に噛み込ませた直後に導通不良が発生している。 このため,異物の噛み込み位置及び,大きさを変化させ,噛み込み直後に導通良となる可能性について確認するため,実証試験を実施した。 実証試験の結果,異物が噛み込んだ位置によっては,導通良となることを確認した。また,異物が小さいほど導通良となるケースが多かった。 (2)ガバナモータ運転中に異物がブラシと整流子の間に噛み込むパターン モータケース内に残留した異物がガバナモータ運転中にブラシと整流子の間に噛み込んだものと推定し,整流子の上に異物を置いて回転させた場合と,整流子の溝に異物を置いて回転させた場合について,異物がブラシと整流子の間に噛み込む可能性を確認するため,実証試験を実施した。 試験の結果,整流子の上に異物を置いただけでは噛み込みは発生しなかったが,整流子の溝に異物を置いた場合は,噛み込むことを確認した。 以上より,異物が噛み込んだパターンは,ガバナモータ分解・組み立て時にブラシと整流子の間に異物を噛み込ませた,又は運転中もしくは組み立て時に整流子の溝に異物が入り,ガバナモータ運転中にブラシと整流子の間に噛み込んだことが考えられる。ただし,後者の場合,異物はブラシと整流子の間に維持されないことが実証試験で確認されており,工場調査で確認した,ブラシ当たり面に異物が噛み込んだと推定される不均一な当たりの原因とはならないことから,今回の事象においては,ガバナモータ分解・組み立て時に異物をブラシと整流子の間に噛み込ませたことになる。 2.3 実証試験まとめ 実証試験結果より,一時的な導通不良が発生した要因として次のこと確認した。 (1)前回分解点検後の組み立て時に,ブラシと整流子の間に異物を噛み込ませた可能性がある。 (2)異物は,0.6mm四方程度の微細なものでも導通不良は発生する。このため,目視では確認し難い微細な異物であった可能性がある。 (3)異物の噛み込み位置によっては,組み立て直後に導通良となる場合がある。また,異物の大きさが小さい程,導通良となりやすい。 (4)異物がブラシと整流子の間に噛み込んだ状態で整流子が回転した際,異物がブラシと整流子の間に留まったまま回転する場合がある。 (5)異物がブラシと整流子の間に噛み込んだ状態で整流子が回転した際,回転に伴うブラシの傾きによる影響で,導通不良又は導通良となる。 3 本事象に至った原因(まとめ) 本事象は,平成19年9月以前は発生していない。このため,今回,出力約4.0MWと約2.5MWで出力降下操作ができなくなったのは,メンテナンス会社の工場における前回分解点検後の組み立て時に,ブラシと整流子の間に噛み込ませてしまった絶縁性異物の影響で導通不良となったことが原因であると推定した。 また,前回ガバナモータ分解点検時において,当社からの調達要求及び調達先の作業要領書には,分解点検時における異物侵入防止管理に微細な異物も含め,管理方法が明記されていなかった。 なお,出力降下操作の可否が繰り返し発生したのは,実証試験の結果から,ブラシと整流子の間に異物が噛み込んだ状態において,整流子の回転やD/G本体からの振動の影響により,ブラシの傾きが変化し,導通不良又は導通良を繰り返したことが原因であると推定した。 平成20年10月24日に発生した事象についても,上記と同様の事象が発生していたものと推定した。 |
| 原因分類 | |
| 事象の種別 |
時間依存性のない事象(偶発事象を含む)
火災に該当しない事象 |
| 添付資料 |
その他添付ファイル 添付「3号D/G(A)ガバナ」(232KB)
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| プレスリリース |
| 発生時運転モード | 運転 | 発生前の電気出力 | 1112[MW] |
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| 発見の方法 | 運転操作 | ||
| 発電所への影響 | なし | ||
| 外部への放射能の影響 | なし | ||
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| 保安規定違反 | なし | ||
| 検査指摘事項の 深刻度(SL)判定結果 |
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| 運転上の 制限外への移行 |
保安規定第59条 非常用ディーゼル発電機その1 第1項 12月22日 午後4時18分:非常用ディ−ゼル発電機(A)動作不能と判断 (運転上の制限からの逸脱) 12月22日 午後4時47分〜午後6時55分:非常用ディーゼル発電機(B)動作確認 12月22日 午後6時55分〜午後8時40分:高圧炉心スプレイ系ディーゼル発電機動作確認 12月22日 午後7時40分〜午後10時28分:原子炉隔離冷却系動作確認 (以上、保安規定の要求に基づく措置) 12月25日 午後11時45分:常用ディ−ゼル発電機(A)動作可能を確認 (運転上の制限逸脱からの復帰) |
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| 自動で作動した安全系 | なし | 手動で作動した安全系 | なし |
| 同発電所で発生した 同様事例 |
2007-中部-M011 非常用ディーゼル発電機(A)の動作不能に伴う措置について
2008-中部-M019 非常用ディーゼル発電機(A)の動作不能および復旧について |
|---|---|
| その他 |