通番 | 9400 | 報告書番号 | 2007-原電-T013 |
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情報区分 |
トラブル情報 |
報告書状態 | 最終報告 |
事象発生日時 | 2007年 10月 18日 | 事象発生日時(補足) | きずを確認 |
会社名 | 日本原子力発電株式会社 | 発電所 | 敦賀発電所2号 |
件名 | 蒸気発生器1次冷却水入口管台溶接部でのきずの確認について | ||
国への法令報告根拠 | 実用炉規則19条の17 | 国際原子力 事象評価尺度(INES) |
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事象発生時の状況 |
敦賀発電所2号機では,平成19年8月26日からの第16回定期検査中、加圧水型軽水炉の1次冷却水圧力バウンダリのニッケル基合金使用部位における1次冷却水環境における応力腐食割れ(以下,「PWSCC」という。)の国内外事例を踏まえ,定期事業者検査において供用期間中検査を実施するとともに,第16回定期検査において,原子炉容器上部ふたの取替えによる管台※1材料の変更(600系ニッケル基合金から耐応力腐食 割れ性に優れた690系ニッケル基合金)を行っている。
また,材料表面の応力緩和措置として,第16回定期検査から蒸気発生器1次冷却水出入口管台等のショットピーニング※2工事を順次行う計画である。 今般報告されている国内加圧水型軽水炉の蒸気発生器1次冷却水入口管台(以下,「入口管台」という。)とセーフエンド※3との溶接部(以下,「周溶接部」という。)表面に確認されたきずについては,形状的制約から超音波探傷試験※4が実施できない箇所であり,ショットピーニング工事の施工前確認として行った渦流探傷試験※5により発見されている。 このため,4基(A〜D)の蒸気発生器1次冷却水出入口管台(計8箇所)の溶接部※6について,ショットピーニング工事の施工前確認として,平成19年10月9日から蒸気発生器1次冷却水出入口管台溶接部表面の渦流探傷試験を行っていたところ,B蒸気発生器入口管台の周溶接部に有意な信号指示が5箇所あることを確認した。 ※1 管台:容器本体に配管等を接続するために設けた部分で,容器本体と一体構造になっている。 ※2 ショットピーニング工事:金属表面に金属の球を高速でたたきつけることにより,金属表面の引張残留応力を圧縮応力に変化させる工事。 ※3 セーフエンド:炭素鋼の蒸気発生器とステンレス鋼配管を接続するための短管。 ※4 超音波探傷試験:超音波を用いて金属内の欠陥を検出する検査方法。金属表面に超音波を発信する探触子から金属内に超音波を発信し,その反射状況から欠陥の状況を確認する。 ※5 渦流探傷試験:材料表面に渦電流を流し材料に発生する電磁誘導の変化から試験対象のきずを検出する方法。 ※6 溶接部:蒸気発生器1次冷却水出入口管台(炭素鋼)には,管台とステンレス鋼のセーフエンド(短管)との溶接部,短管と1次冷却水配管(ステンレス鋼)との溶接部がある。 管台とステンレス鋼のセーフエンド(短管)との溶接部は,600系ニッケル基合金を溶接材として用いており,短管と1次冷却水配管(ステンレス鋼)との溶接部は,ステンレス鋼を溶接材として用いている。 その後,他の3基の蒸気発生器について,1次冷却水出入口管台溶接部表面の渦流探傷試験を行った結果,A蒸気発生器の入口管台で1箇所,C蒸気発生器の入口管台で23箇所の有意な信号指示を確認した。これら有意な信号指示は,いずれも周溶接部で確認された。 なお,D蒸気発生器の入口管台に有意な信号指示は認められず,1次冷却水出口管台については,すべて(A〜D)の蒸気発生器で有意な信号指示は認められなかった。 渦流探傷試験で有意な信号指示が確認された全29箇所について,超音波探傷試験を実施したところ,きずとして深さが明確に確認できた部位は,B蒸気発生器の入口管台が2箇所,C蒸気発生器の入口管台が7箇所であった。 これら深さが確認できたきずのうち,B蒸気発生器入口管台の2箇所については,いずれも深さが約12mm(長さは約19mmと約21mm)であったことから,当該部位の板厚(約67mm)が電気事業法に基づく工事計画認可申請書に記載の75mmを下回ると評価した。 また,C蒸気発生器入口管台の7箇所のきずについても,最大深さが約13mm(長さは約12mm)であったことから,当該部位の板厚(約65mm)が電気事業法に基づく工事計画認可申請書に記載の75mmを下回ると評価した。 本事象による周辺環境への放射性物質の影響はなかった。 |
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事象発生箇所 |
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原因調査の概要 |
A,B及びC蒸気発生器入口管台の周溶接部で全29箇所の有意な信号指示が確認されたことから,要因分析図に基づき調査を実施した。 (1)レプリカ※7,スンプ※8,エッチング※9観察 渦流探傷試験により確認された有意な信号指示に対し,A蒸気発生器の入口管台溶接部1箇所(No.1),B蒸気発生器の入口管台溶接部5箇所のうち,最も深いと評価された2箇所(No.1とNo.2)について,レプリカによる表 面外観確認,スンプ及びエッチングによる金属組織観察を実施した。
※7 レプリカ:被観察表面を直接観察できない場合,間接的に観察する方法。極めて追随性が良く,且つ,剥離性の良い有機材料を被観察面に貼り付け,溶面の凹凸を転写した「レプリカ」を作成し,被観察面を間接的に観察する方法。 ※8 スンプ:損傷部の表面にフィルム等を貼り付け写し取り,これを顕微鏡で観察する。金属サンプルを切り出すのと同様に損傷部の金属組織の調査が可能。 ※9 エッチング:金属組織を光学顕微鏡等によって観察するため,研磨した試験表面をしゅう酸水溶液等によって腐食処理すること。この処理によって研磨工程で生じた表面変質層が除かれ組織が出現する。 1)A蒸気発生器入口管台溶接部 1箇所の有意な信号指示は,軸方向の肌荒れ(微細なきず)の集合体であった。 肌荒れ(微細なきず)が発生している領域は,それらが発生していない周辺部の領域と表面の仕上げ状況が異なり,粗い仕上げとなっていたことから,グラインダにより仕上げたものと推定された。 また,肌荒れ(微細なきず)の最大長さは約5mmで,デンドライト※10境界に沿って割れており,PWSCC特有の分岐が認められた。 ※10 デンドライト:溶融した金属が固まる際にできる柱状の結晶。 入口管台開先の肉盛溶接部と周溶接部の境界部に長さ約10mmの手直し溶接と思われる跡が認められ,この周辺部が粗い仕上げ状態となっていたことから,手直し溶接実施後に当該部をグラインダにより仕上げたものと推定された。 肌荒れ(微細なきず)が発生していない周辺部の領域は,目の細かい周方向の仕上げ状態となっていたことから,グラインダによる加工を施した後,バフにより仕上げられたものと推定された。 2)B蒸気発生器入口管台溶接部 今回調査を行った2箇所(No.1とNo.2)の信号指示のうち,No.1の信号指示は,軸方向の約4mmと約6mmの2本の割れからなり,全体の長さは約9mmであった。また,No.2の信号指示は,軸方向の約1mmから4.5mmの複数の割れがつながったもので,全体の長さは約11mmであった。 これらの割れの周辺には,複数の肌荒れ(微細なきず)が分布していた。 肌荒れ(微細なきず)が発生している領域は,それらが発生していない周辺部の領域と表面の仕上げ状況が異なり,粗い仕上げとなっていたことから,グラインダにより仕上げたものと推定された。 肌荒れ(微細なきず)は,デンドライト境界に沿った割れで,PWSCC特有の分岐が認められた。 入口管台開先の肉盛溶接部と周溶接部の境界部に約φ7mmの手直し溶接と思われる跡が認められ,この周辺部が粗い仕上げ状態となっていることから,手直し溶接実施後に当該部をグラインダにより仕上げたものと推定された。 肌荒れ(微細なきず)が発生していない周辺部の領域は,目の細かい周方向の仕上げ状態となっていたことから,グラインダによる加工を施した後,バフにより仕上げられたものと推定された。 (2)実機サンプリング調査 C蒸気発生器入口管台溶接部の渦流探傷試験で確認された23箇所の有意な信号指示のうち,No.3とNo.4の信号箇所を含む管台溶接部の一部を実機よりボートサンプルとして採取し,ホットラボで詳細調査を実施した。 1)外観観察 内表面の色調の違いにより,セーフエンドと周溶接部との境界が確認できた。 また,採取したサンプルに変形,擦れ等は認められなかった。 2)表面観察 渦流探傷試験で確認されたNo.3の指示信号は軸方向の割れで,この割れの周辺にグラインダとバフによるものと推定される軸方向と周方向の加工跡が確認された。 このうち,グラインダによるものと推定される加工跡は,A及びB蒸気発生器の入口管台溶接部に確認されたグラインダ加工跡の領域に比べ鮮明であった。 3)浸透探傷試験 No.3の割れ部に約5.5mmの指示を,また,No.4の割れ部に約4.7mmの指示を確認した。 なお,この2箇所以外に指示は認められなかった。 4)破面観察 No.3の割れは,表面の長さが約5.8mm,最大深さが約6.4mmであった。 No.4の割れは,表面の長さが約5.8mm,最大深さが約3.4mmで,割れ内部の最大長さは約9.3mmであった。 また,No.3及びNo.4の割れのいずれにも,PWSCC特有のデンドライト境界に沿った破面が確認された。 5)破面SEM観察 No.3及びNo.4の割れのいずれにも,PWSCC特有のデンドライト境界に沿った破面が確認された。 6)破面付着物分析 エネルギー分散検出器(EDS)を用いて,破面表面の付着物の化学成分分析を行った結果,No.3及びNo.4割れのいずれの破面も主元素は溶接金属成分(Ni,Cr,Fe等)であり,破面表面に塩素の付着は認められなかった。 7)断面マクロ・ミクロ観察 No.3及びNo.4の割れのいずれもPWSCC特有のデンドライト境界に沿った割れであることが確認された。 なお,No.3及びNo.4割れの周辺に手直し溶接跡は認められなかった。 8)硬さ測定 内表面から深さ方向の硬さ測定を行った結果,No.3の割れは表面近傍がHV321からHV339であり,No.4の割れはHV309からHV395であったことから,内表面近傍での硬化が確認された。 これはグラインダ等による表面加工の影響によるものと考えられる。 また,No.3及びNo.4の割れのいずれについても,破面と内部の板厚方向における分布の違いは認められなかった。 9)化学成分分析 エネルギー分散検出器(EDS)を用いて,入口管台開先の肉盛溶接部及び周辺溶接部断面の化学成分分析を実施した結果,600系ニッケル基合金溶接金属の規格を満足しており,表面に塩素の付着は認められなかった。 10)残留応力測定 X線残留応力測定により周溶接部表面の残留応力を測定したところ,周方向が−591MPaから−263MPaで,軸方向が−546MPaから−244MPaであったことから,圧縮の残留応力であることを確認した。 11)スンプ観察 No.3の割れ近傍に約240μmから4.5mmの微細な割れを4箇所確認した。 肌荒れ(微細なきず)の発生量は,A及びB蒸気発生器入口管台溶接部に比べ少ないものであった。 なお,スンプ観察を実施した範囲では,手直し溶接跡は認められなかった。 12)断面ミクロ追加観察 No.3の割れ近傍に確認された4箇所の微細な割れについて,断面ミクロ観察を行った結果,複数の微細な割れのうち,最大深さのものは0.8mmでデンドライト境界に沿った割れであることを確認した。 なお,No.3割れよりも深い割れは認められなかった。 (3)製造・運転履歴調査 1)製造履歴調査 敦賀発電所2号機の蒸気発生器は,昭和57年7月から昭和60年4月の期間で製作され,昭和60年2月から同年7月の間で現地に据付けられたことから,当時の工事記録,検査記録を確認するとともに,関係者への聞き取りにより製造履歴を調査した。 その結果,入口管台の製作手順に特異性は認められず,溶接士も十分な経験を有しており,今回の調査記録からは,手直し溶接を実施した旨の記録は確認できなかった。 なお,関係者への聞き取り調査の結果,周溶接部に施したグラインダ及びバフ仕上げは,作業者によって使用した工具の種類が異なる可能性のあることが確認できた。 2)運転履歴調査 敦賀発電所2号機の運転開始(昭和62年2月17日)から第16回定期検査開始(平成19年8月26日)までの運転履歴を調査した結果,以下のとおりであった。 a.1次冷却水温度・圧力 敦賀発電所2号機の運転開始以降,原子炉の自動停止事象が1件,手動停止事象が6件,さらに出力抑制事象が3件あり,これらの他に過渡変化を伴う事象は認められなかった。 また,これらの過渡変化時においても異常な温度,圧力変化を示していないことを確認した。 b.水質管理状況 敦賀発電所2号機の運転開始以降,1次冷却水の水質が敦賀発電所原子炉施設保安規定で定める値を満足しており,塩素等の有害な物質は確認されなかった。 (4)表面加工状態確認試験(モックアップ試験) 入口管台とセーフエンドを溶接した後,内外面のグラインダ及びバフによる仕上げ施工が行われており,これが硬化及び高引張残留応力発生の原因となり得ること,また,実機では,グラインダ仕上げが行われた部位において割れや肌荒れ(微細なきず)が認められていることから,実機の表面仕上げ状態を模擬したモックアップ試験を実施した。 試験は,ステンレス板の上に600系ニッケル基合金の肉盛溶接を行った後,聞き取り調査結果を踏まえた仕上げ条件にてグラインダ及びバフを施工したものを供試体として,表面状態観察,残留応力測定,硬さ測定及び粗さ計測を実施した。 1)表面状態観察 グラインダ及びバフによる表面の仕上げ条件を変化させた供試体(合計10種類)から表面のレプリカを採取して,実機から採取したレプリカと比較した結果は以下の通りであった。 a.A蒸気発生器入口管台溶接部から採取したレプリカで,肌荒れ(微細なきず)が発生しているグラインダ加工の領域は,供試体No.6におけるエアグラインダ(スキルタッチ)による仕上げ条件と同様であった。 また,その周辺の割れが発生していないバフ仕上げ状態の領域は,供試体No.4におけるエアグラインダ施工の上にバフ仕上げした条件と同じであった。 b.B蒸気発生器入口管台溶接部から採取したレプリカにおいて,No.1及びNo.2割れとその周辺部の肌荒れ(微細なきず)が発生しているグラインダ加工の領域は,供試体No.6におけるエアグラインダ(スキルタッチ)による仕上げ条件と同様であった。 また,その周辺の割れが発生していないバフ仕上げ状態の領域は,供試体No.4におけるエアグラインダ施工の上にバフ仕上げした条件と同じであった。 c.C蒸気発生器入口管台溶接部から採取したボートサンプルのレプリカにおいて,サンプル全体の仕上げ状態は,バフ仕上げ面の中に幅が広く明瞭なグラインダ仕上げの跡が残っており,供試体No.9における高周波グラインダ施工の上にバフ仕上げした条件と同様であった。 2)残留応力測定 a.エアグラインダ(スキルタッチ)施工面(供試体No.6)について,残留応力を測定した結果,平均で470MPaであった。 b.エアグラインダ施工の上にバフ仕上げを施工した条件(供試体No.4)で残留応力を測定した結果,平均で−292.5MPaであった。 c.高周波グラインダ施工の上にバフ仕上げを施工した条件(供試体No.9)で残留応力を測定した結果,平均で−211MPaであり,実機と同様に圧縮応力であった。 d.高周波グラインダ施工の上にバフ仕上げを施工した条件(供試体No.9)において,測定領域を小さくしてグラインダ溝底部付近の局所的な残留応力を測定した結果,引張応力が存在することを確認した。 また,高周波グラインダ施工面とその上にバフ仕上げを施工した面では約680MPaの差があることから,高周波グラインダの溝が深い部位では一般的な残留応力計測により得られる値に対し,約680MPaの補正を加えることでグラインダ溝底部の残留応力を推定できると考えられる。 3)硬さ測定 高周波グラインダ施工の上にバフ仕上げを施した箇所の表面近傍の硬さは,HV283からHV384であり,実機サンプリング調査による硬さ測定結果と同様に内表面近傍での硬化が確認された。 (5)文献調査 600系ニッケル基合金溶接部の割れに関する文献調査を行った結果,類似部位での損傷事例として,米国V.C.Summer発電所における原子炉容器出口管台溶接部からの漏洩(2000年10月発見)事象,スウェーデンRinghals3号機及び4号機で原子炉容器出口管台溶接部の超音波探傷試験にて指示が確認(2000年8月と9月に発見)された事象が報告されている。 また,敦賀発電所2号機において,加圧器逃がし弁用管台部等に割れ(平成15年9月発見)が発生している。 これらの割れは,いずれも軸方向割れで,米国V.C.Summer発電所と敦賀発電所2号機では,割れは溶接金属内を進展し,低合金鋼との境界,セーフエンドとの境界で停留していた。割れの原因は,いずれも補修溶接を行ったことによる高引張残留応力により発生したPWSCCと推定されている。 さらに,600系ニッケル基合金溶接部のPWSCCの発生に関しては,360℃温度加速SCC定荷重試験が実施されており,応力300MPa以上でPWSCCが発生するとされている。 (6)その他の損傷形態 延性割れ,疲労損傷の可能性についても調査したが,使用環境条件,使用材料に異常はなく,これらが原因とは考えられない。また,製作時の高温割れについても,製造履歴,検査記録から原因となるものは認められなかった。 (7)調査結果のまとめ A,B及びC蒸気発生器の入口管台溶接部にて確認された肌荒れ(微細なきず)及び割れは,いずれもデンドライト境界に沿った割れであり,PWSCCの様相を呈していることが確認された。 また,C蒸気発生器入口管台溶接部におけるグラインダ等の仕上げ施工による表層部の残留応力(周方向)については,ホットラボにて測定した実機ボートサンプルの残留応力測定値(−591MPaから−263MPa)にモックアップ試験結果から求めた補正値(約680MPa)を加えると,グラインダ溝底部の表面残留応力は約90MPaから約420MPaとなり,PWSCCの発生条件である約300MPaを超える引張応力があることを確認した。 なお,A蒸気発生器,B蒸気発生器入口管台溶接部の割れ及び肌荒れ(微細なきず)が認められた部位のエアグラインダ(スキルタッチ)による表層部の残留応力は,高周波グラインダによる溝底部の応力と同等であることがモックアップ試験により確認されたことから,C蒸気発生器入口管台溶接部の割れの運転中における表層部の応力と同等であると考えられる。 また,配管板厚内部に発生する運転中応力(主に内圧)は,軸方向に比べ周方向の方が大きいことから,割れの進展の方向が軸方向になったものと考えられる。 以上のことから,これらの割れ及び肌荒れ(微細なきず)は,PWSCCによるものと推定される。 |
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事象の原因 |
蒸気発生器の製作時,入口管台とセーフエンドを600系ニッケル基合金で溶接し,エアグラインダとバフによる仕上げを行った後,手直し溶接部にエアグラインダ(スキルタッチ)仕上げを行った部位(A,B蒸気発生器のスンプ調査部位)や局所的に高周波グラインダ施工の跡が残った部位(C蒸気発生器のボートサンプル調査部位)の内面の表層部に高い残留応力が発生し,その高い応力によりPWSCCが発生するとともに,運転中の応力等により軸方向に進展したものと推定された。 |
原因分類 | |
事象の種別 |
時間依存性のある劣化事象
火災に該当しない事象 |
添付資料 |
状況図 添付図−1(Final)R(100KB) 状況図 添付図−2(Final)R(130KB) 状況図 添付図−3(Final)(171KB) 状況図 添付図−4(Final)(85KB)
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プレスリリース |
発生時運転モード | モード5 | 発生前の電気出力 | 0[MW] |
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発見の方法 | 作業・点検 | ||
発電所への影響 | 停止期間延長 | ||
発電停止時間 |
外部への放射能の影響 | なし | ||
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保安規定違反 | なし | ||
検査指摘事項の 深刻度(SL)判定結果 |
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運転上の 制限外への移行 |
なし | ||
自動で作動した安全系 | なし | 手動で作動した安全系 | なし |
同発電所で発生した 同様事例 |
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その他 |