通番 | 210 | 報告書番号 | 2000-関西-T005 Rev.1 |
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情報区分 |
トラブル情報 |
報告書状態 | 最終報告 |
事象発生日時 | 2000年 05月 09日 15時 15分 | 事象発生日時(補足) | (出力降下開始) |
会社名 | 関西電力株式会社 | 発電所 | 大飯発電所1号 |
件名 | 復水器細管漏えいに伴う出力抑制について | ||
国への法令報告根拠 | 通産大臣通達 | 国際原子力 事象評価尺度(INES) |
評価対象外 |
事象発生時の状況 |
大飯1号機は定格出力(1175MW)運転中のところ、平成12年5月9日13時20分頃化学係員が2次系化学室にて蒸気発生器酸導電率指示値の上昇を確認後、発電室員へ連絡した。13時30分頃発電室員が中央制御室の蒸気発生器酸導電率指示値が0.25μS/cmに上昇している(通常値0.09μS/cm)ことを確認したため、13時34分に復水処理装置を部分通水から全量通水に切替え監視強化を行っていた。 その後、復水器関連パラメータは安定的に推移していたが、蒸気発生器器内水の手分析結果により、塩素イオン濃度が28ppb(通常値:約0.2ppb、負荷降下基準:10ppb以上)であったことから、同日15時00分に復水器細管漏えいと判断し、点検、補修のため15時15分から出力降下を開始し、17時15分に60%出力(705MW)に到達した。 なお、本事象による環境への放射能の影響はない。 |
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事象発生箇所 |
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原因調査の概要 |
1.発泡剤による漏えい検査 3A水室の1本の細管(アドレス:B19−13)に漏えいの疑いのある吸引指示が認められた。 2.漏えいの疑いのある細管の渦流深傷検査(以下「ECT」という。) 管中央やや出口寄りの内面に約90%の減肉指示が認められた。 3.漏えいの疑いのある細管のファイバースコープによる細管内面観察結果 細管内表面部に、明確に減肉と思われる箇所は認められなかったが、ECT 減肉指示箇所付近に鉄皮膜が若干はく離し、減肉していると思われる箇所が数箇所認められた。
さらに、抜き取りにて10本の細管について内表面の観察を行った結果、細管内面の鉄皮膜は全面に正常(ほぼ一様)に付着しており、特に問題は認められなかった。 4.漏えいの疑いのある細管以外のECT結果 漏えいの疑いのある細管以外の細管(1A〜3A水室)についても、全数(42,743本)のECTを実施した結果、施栓基準に達している細管は399本であった。 5.運転経歴調査結果 (1)硫酸第一鉄注入状況 前回定期検査後の運転サイクルにおける硫酸第一鉄注入状況を調査した結果、起動時の初期皮膜形成時及び通常運転時とも計画通りであった。 (2)循環水系統の運転状況 平成11年5月下旬においてクラゲが頻繁に来襲したため、その都度循環水ポンプの翼開度を一時的に低下(最小60%まで)させて運転していた時期があったが、それ以外は通常の翼開度で運転していた。 |
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事象の原因 |
漏えいの原因は、潰食による細管内表面からの減肉により貫通漏えいに至ったものと推定される。 |
原因分類 | 保守不備>自然劣化 |
事象の種別 |
時間依存性のある劣化事象
火災に該当しない事象 |
再発防止対策 |
1.漏えいが認められた細管(1本)及び、その他ECTにより有意な減肉が認められた細管(399本)について施栓を実施する。 2.今回比較的多くの細管に減肉が認められたことを踏まえ、従来から取り組んできた海生物付着防止のための取り組みを強化し、今後はモデルコンデンサによる試験も含めた幅広い調査、検討により知見の拡充に努め、循環水系統の運用等に反映していく。 |
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水平展開の検討 | 対象外 |
添付資料 |
状況図 MKE004050ZU(58KB)
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プレスリリース |
発生時運転モード | 発生前の電気出力 | ||
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発見の方法 | 運転監視 | ||
発電所への影響 | 出力抑制 | ||
発電停止時間 | 0時間 0分 |
外部への放射能の影響 | なし | ||
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保安規定違反 | なし | ||
検査指摘事項の 深刻度(SL)判定結果 |
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運転上の 制限外への移行 |
なし | ||
自動で作動した安全系 | 手動で作動した安全系 |
同発電所で発生した 同様事例 |
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その他 |