通番 | 1660 | 報告書番号 | 1990-中部-T002 |
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情報区分 |
トラブル情報 |
報告書状態 | 最終報告 |
事象発生日時 | 1990年 10月 08日 | 事象発生日時(補足) | |
会社名 | 中部電力株式会社 | 発電所 | 浜岡発電所1号 |
件名 | 燃料損傷について | ||
国への法令報告根拠 |
電気関係報告規則3条
実用炉規則24条2項 |
国際原子力 事象評価尺度(INES) |
事象発生時の状況 |
浜岡原子力発電所1号機は,平成元年8月24日に第10回定期検査を終了し,第11サイクルの運転に入った。定格出力運転中の平成2年3月27日,排ガス復水器出口ガスモニタの指示値が通常運転中の値,約1.9E−11アンペア(A)から約2.5E−11Aに上昇した。 一方,原子炉冷却材(炉水)中のよう素131濃度が3月30日に上昇し,平常時(約0.15Bq/g)の約10倍程度(約1.5Bq/g)になったが, 運転上の制限値(7700Bq/g)に対して十分な余裕があったので監視を強化して運転を継続し,6月17日原子炉停止時には,最高で20Bq/g程度となった。炉内の燃料集合体全数(368体)について,シッピング検査を実施した結果,平成2年10月8日に燃料集合体5体に漏えいが確認された。また,漏えいの確認された燃料集合体5体の外観調査の結果,いずれも燃料被覆管表面の付着物(クラッド)及び被膜等の一部がはがれた状況(はく離)が確認された。このため炉内の残りの燃料集合体についても外観調査を実施した結果,はく離が認められた燃料集合体が,漏えいの認められた燃料集合体を含め78体確認された。
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事象発生箇所 |
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原因調査の概要 |
1 燃料調査 [1] 燃料棒外観調査;水中テレビ及びファイバースコープを用いて燃料棒表面の調査を実施した結果,78体の燃料集合体の一部の燃料棒にはく離が認められた。 [2] 浸水燃料棒調査;漏えい燃料集合体5体のうち4体に合計5本の浸水燃料棒が確認された。 [3] 燃料被覆管の外観観察及び酸化膜厚さ測定;被覆管表面が白く一様に酸化しており,酸化膜厚さは健全燃料に比べ,最大では2倍以上あること が確認された。
これらの燃料集合体は,いずれも第8サイクルまたは第9サイクルから装荷された3ないし4サイクル照射された燃料集合体であった。 2 水質環境調査 水質記録を調査した結果,第9サイクル及び第11サイクルのプラント起動初期に復水脱塩装置(CD)のイオン交換樹脂からの溶出有機物による炉水の導電率上昇があり,両サイクルとも炉水中で硫酸イオン等が検出された。また,運転中の炉水についても,復水脱塩装置のイオン交換樹脂の逆再生により流入したNa+濃度が高く,少量ながらCDの樹脂から溶出する有機物が給水系から炉内に流入していたこと等の特異性が確認された。 3 燃料被覆管材料調査 累積焼鈍し時間(ΣAi)等を指標として,燃料被覆管の腐食感受性について評価した結果,第8サイクルまたは第9サイクルから装荷された燃料被覆管の腐食感受性が,他の装荷燃料被覆管に比べて相対的に高いことが認められた。 4 腐食(酸化)確認試験 硫酸ナトリウム,硫酸及び炭酸ナトリウムが腐食(酸化)に影響することが確認された。 |
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事象の原因 |
特異性のある水質環境の影響により,腐食感受性の相対的に高い燃料被覆管材料に異常な酸化が発生して,一部の燃料棒ではく離さらには漏えいに至ったものと推定される。 |
原因分類 | 腐しょく>化学腐しょく |
事象の種別 | 火災に該当しない事象 |
再発防止対策 |
1 健全燃料の採用 再使用する燃料集合体は,はく離の無いことを確認する等健全性を確認したものとする。なお第8サイクル及び第9サイクルから装荷された燃料集合体は,全て再使用しないこととする。 2 水質改善対策及び水質管理の強化 水質改善対策として,炉水へのNa+の流入を防止するため,CDのイオン交換樹脂を交換し,非再生運用とする。また,起動時の炉水への有機物の流入低減対策等を講じると共に,水質管理の強化として,炉水中のNa+等の監視強化を行う。 3 今後の対応 燃料被覆管の耐食性改善のため,耐食性改善工程の採用を進めるとともに,品質管理の強化を徹底させる。また,照射後試験,長期腐食試験及び水質試験を行い今回の事象の推定原因を確認する。 |
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水平展開の検討 | 対象外 |
添付資料 |
状況図 MJI004280ZU(38KB)
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プレスリリース |
発生時運転モード | 燃料交換 | 発生前の電気出力 | 0[MW] |
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発見の方法 | 試験・検査 | ||
発電所への影響 | なし |
外部への放射能の影響 | なし | ||
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保安規定違反 | なし | ||
検査指摘事項の 深刻度(SL)判定結果 |
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運転上の 制限外への移行 |
なし | ||
自動で作動した安全系 | なし | 手動で作動した安全系 | なし |
同発電所で発生した 同様事例 |
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その他 |