通番 | 154 | 報告書番号 | 1997-北陸-T001 Rev.1 |
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情報区分 |
トラブル情報 |
報告書状態 | 最終報告 |
事象発生日時 | 1998年 01月 10日 08時 35分 | 事象発生日時(補足) | (出力降下開始) |
会社名 | 北陸電力株式会社 | 発電所 | 志賀発電所1号 |
件名 | 復水器細管漏えいに伴う原子炉手動停止について | ||
国への法令報告根拠 |
電気関係報告規則3条第2号
実用炉規則24条2項 |
国際原子力 事象評価尺度(INES) |
評価対象外 |
事象発生時の状況 |
発生日時;平成10年1月10日8時35分(出力降下開始) 志賀原子力発電所1号機は定格出力(540MW)で運転中のところ、平成10年1月10日8時17分「復水器(B)ホットウェル出口導電率高」、引き続き8時24分「復水・給水系導電率高」の警報が発報した。 その後、原子炉水導電率に上昇が認められたことから、復水器(B)水室を隔離するため、8時35分より出力降下を開始したところ、原子炉水導電率の上昇傾向が継続したため、9時47分に原子炉を手動停止した。 なお、本事象による外部への放射能の影響はなかった。 |
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事象発生箇所 |
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原因調査の概要 |
(1)復水器導電率上昇の原因調査 復水器(B)の復水器細管・管板部についてビニールシートまたは泡沫による漏えい検査を実施した結果、復水器細管1本に漏えいが確認されたため、ファイバースコープで目視点検をした結果、損傷が確認された。引き続き、復水器蒸気室内部より点検した結果、当該復水器細管近傍の管群上に金属片一片が発見された。また、当該復水器細管上方に設置された第2給水加熱器(B)の防熱板に破損が 確認され、回収した5片の金属片の形状・厚さが防熱板欠損部と一致したことから、これらの金属片は全て第2給水加熱器(B)の防熱板の破損片と確認した。
(2)給水加熱器防熱板破損の原因調査 [1]防熱板破損部の点検 防熱板破損部について目視点検した結果、防熱板/防熱板取付板間の栓溶接が防熱板取付板端部よりずれていたことが確認された。 [2]その他の箇所の点検 類似箇所の点検として、第1、第2給水加熱器防熱板栓溶接部について浸透探傷検査を実施した結果、第1給水加熱器(B)、第2給水加熱器(A)(B)の栓溶接部に目視では確認できない17箇所の欠陥指示模様が確認された。 [3]工場調査 (a)破面観察 破損片、防熱板の損傷破面及び破損部上方の栓溶接部き裂破面を走査型電子顕微鏡にて観察した結果、疲労破壊にみられるストライエーション状模様及び溶接欠陥が確認された。また、17箇所の欠陥指示模様は小さなひびであり、損傷破面と同様のストライエーション状模様及び溶接欠陥が確認された。 (b)製作履歴調査 第2給水加熱器(B)防熱板の製作履歴調査の結果、設計寸法より短い防熱板取付板が加工され、当該給水加熱器に取り付けられていたことが確認された。 (c)蒸気流動解析・応力評価 応力解析の結果、熱応力および蒸気流体力による発生応力は、ともに防熱板の降伏応力以下であることを確認した。また、共振の可能性がないことを確認した。 タービン排気蒸気の流動解析により、破損した栓溶接部には振巾320Pa、その他の小さなひび発生部位には振巾105〜190Paの圧力変動が作用することを確認した。 |
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事象の原因 |
(1)復水器導電率上昇の原因 第2給水加熱器(B)の防熱板の破損片が損傷細管近傍の管群上に発見され、当該破損片からチタン成分が検出されたこと、損傷細管の破面に管外面からの金属片衝突によると思われる延性破面が認められたことから、復水器導電率上昇は第2給水加熱器(B)の防熱板の破損片が復水器細管に衝突、損傷し、海水が漏れ込んだことによるものと推定される。 (2)給水加熱器防熱板破損の原因 防 熱板取付板が設計寸法より短く、栓溶接穴がずれて溶接されたことから溶接欠陥が発生し、この結果欠陥部付近に高い応力が集中し、ここを起点としてき裂が生じた。当該部分は、他の部分よりタ−ビン排気蒸気による圧力変動が大きいため、き裂の進展が促進され防熱板に開口が発生した。この開口部に蒸気が流入したためさらにき裂の進展が促進され、破損片の脱落に至ったものと推定される。
また、防熱板栓溶接部の小さなひびは、溶接欠陥に起因する疲労によるものであり、ひびの進展は停留すると推定される。 |
原因分類 | 設計・製作不良>製作不良 |
事象の種別 |
時間依存性のない事象(偶発事象を含む)
火災に該当しない事象 |
再発防止対策 |
(1)復水器漏えい細管は抜管し、管板部に閉止用短管を取り付けた。 (2)第2給水加熱器(B)の防熱板を新品に取り替えた。また、防熱板栓溶接部に欠陥指示模様が認められた第1給水加熱器(B)、第2給水加熱器(A)についても防熱板を新品に取り替えた。更に、第1給水加熱器(A)には同様の欠陥指示模様が認められなかったが、念のため防熱板を新品に取り替えた。 なお、防熱板の取付方法は施工性を考慮し、栓溶接方式取付からボルト締め方式取付とするとともに、防熱板板厚を厚くし、強度の向上を図った。 (3)社内においては品質保証体制の強化、意識高揚等を図るとともに、メーカーに対しては、品質保証活動の強化を指示する等、施工管理に関する品質保証活動を強化する。 |
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水平展開の検討 | 対象外 |
添付資料 |
状況図 MJI005390ZU(91KB)
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プレスリリース |
プレスリリース(本文) PRS02440B(44KB) プレスリリース(本文) PRS02463B(696KB)
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発生時運転モード | 運転 | 発生前の電気出力 | 540[MW] |
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発見の方法 | 運転監視 | ||
発電所への影響 |
手動停止
手動停止 |
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発電停止時間 | 158時間 13分 |
外部への放射能の影響 | なし | ||
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保安規定違反 | なし | ||
検査指摘事項の 深刻度(SL)判定結果 |
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運転上の 制限外への移行 |
なし | ||
自動で作動した安全系 | なし | 手動で作動した安全系 | なし |
同発電所で発生した 同様事例 |
なし |
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その他 |