通番 | 11498 | 報告書番号 | 2011-中部-T003 Rev.2 |
---|---|---|---|
情報区分 |
トラブル情報 |
報告書状態 | 最終報告 |
事象発生日時 | 2012年 03月 30日 11時 30分 | 事象発生日時(補足) | メーカから点検報告を受け、トラブルと判断した時刻 |
会社名 | 中部電力株式会社 | 発電所 | 浜岡発電所5号 |
件名 | 浜岡原子力発電所5号機 復水貯蔵槽内張り材の腐食孔について | ||
国への法令報告根拠 | 実用炉規則19条の17第3号 | 国際原子力 事象評価尺度(INES) |
(暫定)0− |
事象発生時の状況 |
2011年5月14日に、浜岡原子力発電所5号機の原子炉停止後の冷温停止操作過程で発生した主復水器細管損傷事象に伴い系統内に海水が流入した。以降、海水が流入した設備の点検および健全性評価を進めている。 2011年10月より,復水貯蔵槽内張り材の点検を行ってきており,これまでに壁部5個・底部35個,合計40個の孔を確認した。これらの孔について詳細に点検を実施してきたところ,壁部の5個につい ては必要な板厚を満足していることを確認したが,底部については35個の孔を26箇所(※)に区分けして点検したところ, 11箇所で発泡漏れ試験により発泡があることを2012年3月30日に確認した。孔は復水貯蔵槽の内張り材を貫通しており発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令に定める基準に適合していないものと判断した。
(※ 溶接補修において、孔が近いものは、合わせて溶接開先部を形成するため。) なお、復水貯蔵槽の保有水全ブローが完了した平成24年1月15日までの期間、復水貯蔵槽の漏えい監視装置(漏えい警報、漏えい目視箱)による確認において漏えいは認められていなかった。 |
||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
事象発生箇所 |
|
原因調査の概要 |
復水貯蔵槽の腐食孔が発生した要因として、水質、溶接不良等が考えられるため、以下の原因調査を実施した。 (1) 設計に起因するもの 材料(SUS304)選定、水質基準の設定不良による腐食の可能性について、文献を調査した結果、復水貯蔵槽の最高使用温度66℃以下では、通常時の水質基準(塩化物イオン濃度10ppb以下)において、選定した材料に腐食が発生しないことを確認した。 (2) 据付時 に起因するもの
材料の仕様間違え、溶接施工不良等の可能性について、過去の記録等を調査した結果、問題がないことを確認した。 (3) 海水流入事象発生前までの運用に起因するもの 腐食性物質の混入等による腐食の可能性について、過去の水質履歴を確認した結果、水質基準を満たしており、問題がないことを確認した。 (4) 海水流入事象に起因するもの 文献を調査した結果、海水混入後の水質環境(塩化物イオン濃度390〜503ppm、水温24〜45℃)およびクラッドの堆積により「すきま腐食」が発生しやすい環境となることを確認した。 また、腐食孔のサンプルを採取し、組織観察を実施した結果、すきま腐食等で観察される樹状晶の組織(デンドライト状組織)形態が認められた。 |
---|---|
事象の原因 |
復水貯蔵槽にクラッド(注)が堆積している状態において、海水が復水貯蔵槽内に混入したことで、クラッドと内張り材のすきま部が腐食しやすい環境となり、すきま腐食が発生、進行し、孔が貫通したものと推定した。 (注)配管内面の錆等が、槽内に持ち込まれ底部に沈降等しているものであり、一般的に、タンク類の点検時に確認され、今回の事象に特有のものではない。なお、今回確認されたクラッドの主成分は鉄であった。 |
原因分類 |
外部要因>他事故波及
時間依存性のある劣化>腐食 |
事象の種別 |
時間依存性のない事象(偶発事象を含む)
火災に該当しない事象 |
添付資料 | |
---|---|
プレスリリース |
5号機 復水貯蔵槽の点検結果について.pdf(180KB)
|
発生時運転モード | 冷温停止 | 発生前の電気出力 | 0[MW] |
---|---|---|---|
発見の方法 | 作業・点検 | ||
発電所への影響 | なし |
外部への放射能の影響 | なし | ||
---|---|---|---|
保安規定違反 | なし | ||
検査指摘事項の 深刻度(SL)判定結果 |
|||
運転上の 制限外への移行 |
なし | ||
自動で作動した安全系 | なし | 手動で作動した安全系 | なし |
同発電所で発生した 同様事例 |
なし |
---|---|
その他 |